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◆"犬塚 勉"という画家
この名前をご存じでしょうか?
まったく無名の画家であった彼が、
NHK教育TV「日曜美術館」で取り上げられたことがきっかけで、
今、静かな人気を呼んでいます。
その犬塚 勉展が、11/15まで 信州・東御市の梅野記念絵画館で開催されています。
片道4時間半の道中は長かったけれど、
いまが盛りと燃え立つ信州の山々の紅葉を観ながらのドライビングは
感嘆と爽快感に満ちた至福の路でした。
梅野記念絵画館に入り、いよいよ犬塚さんの作品と対面。
彼が山歩きと出逢い、確立した作品群を目の当たりにして、
「日曜美術館」で初めて目にしたとき以上の
言葉にできないほどの衝撃と感動がありました。
犬塚さんは絵を描くにあたって、
1日2食、タバコを止め自然食に切り替える、ヨガの実践、厳冬と真夏の山登りなど
かなりストイックでシビアな生活を自らに課しました。
その事によって、自然と一体となり、
一木一草のみならず、水や風、石にさえも生命の息吹きを感じ取り、
描き込もうとしたのでした。
犬塚さんの代表作 "梅雨の晴れ間" と向き合った時、
フツフツと魂の奥底からこみあげる物を押さえられず、
恥ずかしながら人前で涙の流るるまま、その場を離れることができませんでした。
サンサンと降りそそぐ夏の陽、一歩木蔭に入った時のフッと感じる心地よさ、
生い茂る草の放つ草いきれと樹々の匂い、そして時折吹きわたる風。
何の変哲もない日常風景の中で彼が観て、聴いて、嗅いで、感じた
「あぁ、生きているんだ」という感動。
全身全霊で絵に閉じ込めた一瞬が、僕の中で再び動き出す
そんな感覚に心を揺さぶられたのです。
そしてついに犬塚さんがたどり着いた世界、
それを「日曜美術館」でゲストコメンテータとなった同じく画家の桜田晴義さんは
"曼荼羅" と、解されました。
まさしく曼荼羅の境地に至ったからこそ、
遺作 "暗く深き渓谷の入口Ⅰ/Ⅱ" を残して、
1988年9月23日、谷川岳で永遠に旅立たれたのかも知れません。
梅野記念絵画館・犬塚 勉展
http://www.umenokinen.com/backnumber/html/inuzuka/info.html
(2009.11. 3)
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