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~ 植物との語らい ~



野紺菊

 

  いつもこの時期、撮影した植物の同定に頭を痛めるものがある。

 

  それが、この野紺菊系(Aster)だ。

  同じ菊科の菊属(Chrysanthemum)も似た花が多いのは確かだが、

  分布域がハッキリと分かれている場合が多く、自生地での同定にはそれ程困ることが無い。

 

  だが、野紺菊系ともなると、分布域が重なるばかりか、

  容易に交雑し、どちらの親の形質とも付かない個体が数多く発生する。

  まぁ元々、野紺菊自体、白嫁菜(A. ageratoides)系と嫁菜(A. yomena)系との交雑種と云われ、

  その起源がまだ特定されていない植物でもある。

  それを裏付けるように学名もA. trinerviusの変種、A. ageratoidesの変種、

  そして現在は A. microcephalusの変種というように変遷している。

 

  その主な種類(系統)は、

  ・平地~林縁の日なたを主に、半日陰地にも生育する標準花色が淡桃紫色の野紺菊

  ・野紺菊に似た花型ながら、標準花色が白で北向きの林縁など、

   やや仄暗い半日陰地にも生育する白嫁菜田舎菊(山城菊)

  ・中部山岳地帯など、やや冷涼な気候の林床に生育する白山菊

  ・野紺菊の交雑親種とも云われる、平地に生育する嫁菜

  ・山地の草原に生育する山路野菊

 

  主な種類だけでも枚挙にいとまがないが、

  なぜ植物の同定にこだわるのか、

  実はそれこそが、この記事の本題でもあるのだが、

  生物多様性の正しい把握には正しい同定が欠かせない、と考えるからだ。

 

  時々Web上で、撮影した植物がいったい何であるのか、やっきになって探すのはおかしい

  植物の名前など人間が勝手に付けたものだから、何であろうが植物は知ったこっちゃない!

  との記事(意見)を見る。

  一見、正しく思えるが、生物多様性の本質を正しく理解していない、と僕は思う。

 

  何故ならば、人は太古からアノ物とコノ物は違う、

  アノ物にはあの名前、コノ物にはこの名前を付けよう、と決めて来た。

  名前があるということは、対象の区別(=認識)が行われて来た、という証拠に他ならないのだ。

  無論、全ての物が正しく区別認識され、それぞれに名前が付いているとは限らない。

  ある時は別々の物であっても、十把一絡的に同じ名前が付いている場合もある。

  だがしかしいつも、いつの日か、それに疑念を抱いた人によって再考が行われ、

  別々の物としてちゃんと区別された、という歴史があるのも事実だ。

 

  生物多様性を正しく理解するという事は、

  そこに生息する生物を1つ1つきちんと同定し、把握することだと、僕は思っている。

  パッと見て、「あぁ、たくさんの生物が居ますね」では、済まされないのだ。

 

  ではお前は撮影した植物を、1つ1つ間違いなく同定しているのだな!?

  と問われれば、『間違いはあるかも知れません』としか言いようがない。

  でも自ら撮影した植物を同定する、すなわち名付けるという行為の繰り返しによって、

  その地域特有の生物(貴重種)の把握が可能になる、と思うのだが

  どうだろうか?

 

 

 

野紺菊

白嫁菜

 

白山菊(選抜園芸種)

大柚香菊(嫁菜の近縁種)

  (左上:野紺菊、右上:白嫁菜)
  (左下:白山菊の選抜園芸種、右下:嫁菜の近縁種、大柚香菊)

 

                                          (2008.11.11)




植物との語らい


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