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◆春は黄色から (2008/March)
節分/立春から1ヶ月経って、ようやく梅も本格的に咲き始めた。
新暦の節分/立春は終わったけれど、
旧暦はこれからで、花咲く種類もぐんと増える。
梅のほか、満作、福寿草などがそうだ。
花や植物だけでなく、自然相手に物事を考える場合、
いま使っている新暦よりも、旧暦の方が理にかなっている。
ところで草木を問わず、春は白や黄色の花が多い。
何故だろう?
それは、受粉を仲介する虫と関係ある。
ただし虫と云っても、普段なじみ深いチョウやハチたちではない。
この時期、まだ気温が低く、これらの虫たちに出番はない。
主役は意外なことに、ハエだという。
ハエの心を最も興奮させる色彩、
それが白や黄色なのだ。
何故ハエが白や黄色を好むのかは、暗いところを嫌う習性と関係あるらしい。
網戸がまだ一般的でなかった時代、
食堂などで黒塗りの板で、鍵状に折れ曲がった出入り口を持つところが在った。
これはハエを入れないための工夫だと云う。
春のみならず夏でも、森の中などで咲く花に白や黄色が多いのもハエを呼ぶためで、
実際その時期、そういった場所を歩くとハエの多さに閉口することだろう。
一方、森の中でも陽のよく当る、明るく開けた場所ではチョウやハチが多く、
花色も赤やオレンジ、ピンクなどが目立つことから、
チョウやハチの心をときめかすのはどんな色か、およそ類推できるだろう。
そんな花色のことを思い、あらためて植物を観察してみると、
「本当に植物の知恵たるや、凄いなぁ!」と、思う。
白や黄色の花咲く植物は
葉自体が濃色か、森の中など葉色が濃く見える場所、
はたまた照葉常緑樹を背景に、その花色が浮き立つようにできている。
では日なたを好む花木の場合はどうだろう?
蝋梅、満作、山茱萸、黄梅、連翹、土佐水木…。
これらは春、葉に先立って花咲くもので、すべて黄色が標準の花色だ。
梅や桜も花色こそ違うものの、葉に先立って白、もしくはそれに近い色を咲かせる。
一見これらの花は、人には花が浮き立っているようには見えないが、
ハエに成ったつもりで、下から覗いてみてほしい。
春の澄んだ、透き通るような青空をバックに、きっと花色が浮き立つはずだから!
そして、こういった花たちがなぜ上向きではなく、
下向きやうつむき加減なのか、その答えも思いあたることだろう。
もし神様に 「一度だけ、植物と会話できる機会を与える」
と、云われたら
僕は躊躇なく、こう訊くことだろう。
『 ねぇ、どうしてこの花色が虫たちに好かれるって、わかったの?
判るまえは、どんな花色をしていたの? 』
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